1~5年目
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道具の扱い方や安全技術などを
しっかり身に付ける新人研修。
ラインマンの仕事は高い技術と特別な技能が求められます。まずは新人研修で、その基礎をしっかり身に付けます。道具の扱い方や安全装置の使い方、基礎的な作業方法を学び、十分に訓練を行うので初めての人も安心です。
5~20年目
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一通りの技術を身に付ければ
リーダーとしての資質を磨く勉強会へ
一通りの技術を身につけたら、中堅を対象にした勉強会や会議を経て管理者としての実力を磨きます。現場全体を任されるリーダーとして実績を積み重ね、ゆくゆくはラインマンとしての最高峰「マスターラインマン」を目指します。
スペシャリストへ
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仕事を通じて多くの資格を
取得できることも魅力
ラインマンの魅力のひとつは多数の資格を取得できることです。資格を取得することで、仕事の幅がどんどん広がります。卓越した技術と技能、見識を持つ者(およそ上位1%)には、最高峰「マスターラインマン」の称号が贈られます。
(株)DCライン
小西 陸
子どもの頃から鉄塔の仕事に憧れていた。
私は子どもの時から電柱や鉄塔の上で作業をしている人を見るのが好きで、格好いいなと思っていました。中学生の時には四国電力で職場体験させてもらい、その時に「ラインマンになりたい」と決意しました。今、夢が叶って、鉄塔の上で架線の仕事をしています。一通りの仕事を覚え、電線の状態をチェックしたり、古い電線を新しい電線に張り替えたりなど、充実した毎日です。と言っても、初めは高さに慣れるのに苦労しました。憧れの仕事ではあったのですが、実は私は高所恐怖症。最初に鉄塔に昇ったときは足がすくみました。だけど不思議なことに作業に集中していると恐さを忘れます。何力月か働いているうちに高さへの恐怖がなくなってきて、今では鉄塔から見る景色が大好きになっています。
働いていて感じる架線の仕事の良さは、がんばった成果がカタチに残ることです。後から「あの電線は自分が張った」と確認できて、誇らしい気持ちになれます。また普通の人が入れない場所、その素晴らしい景色を見ながら働けることも魅力です。美しい雲海を見ながら作業をしたこともありますが、本当にいい気分でした。
安全帯
高い場所でも平気なのは、命綱である安全帯があるおかげです。時には自分の体を安全帯に預けて、両手を離して作業をすることもあります。仕事の後は手入れを忘れません。痛んだ部分があれば早めに交換して万全の状態にしています。
(株)SKYTEC
穂刈唯史
気持ちいい眺めの中で仕事できる。
鉄塔の組立・解体、メンテナンスから架線工事まで、幅広い仕事をしています。オールマイティになんでもできるから、関東から九州まで幅広い現場から声がかかり、いろいろな土地で仕事をさせてもらっています。普通の人は見たことがないような各地のすごい景色を見ながら仕事できるのは、やりがいのひとつになっています。
私は昔から高い所に昇るのが好きで、高所での仕事に興味を持っていました。ある時、求人でラインマンの仕事のことを知って「働いてみたい!」と思って転職したんです。高さ100mを越える鉄塔での仕事もありますが、はっきり言って慣れてしまうと高さは関係なくなります。晴れた日なんかは「今日の眺めは気持ちいいな!」と思いながら作業しています。
心に残っているのは、山奥の現場でキャンプをしたことです。食べ物もテント用具もヘリコプターで運んでもらうほどの場所で、周りにいるのはシカやサルだけ。夜は静かだし星がきれいで、忘れられない1日となりました。こんな感じで現場によって雰囲気が違うことも、飽きずに長く仕事を続けられる理由かもしれません。
携帯コンロ
山奥の現場では、当たり前ですけど近所にコンビニなんてありません。昼ご飯はお弁当を持参する人が多いですが、私はコンロを持って行って鍋で暖かいラーメンやうどんを作っています。自然の中で食べるといつもよりおいしく感じます。
山本工業(有)
山本康博
機械を使いこなして仕事の効率アップ。
実家の仕事を継いで、鉄塔の基礎を作っています。鉄塔の基礎作りとは、言い換えるなら地中にコンクリートの柱を作ること。地盤の状態や鉄塔の規模によって、その柱の形状や大きさ、深さが変わります。
現場では、仕事にかかる前の準備が大事です。例えば道がない山奥では、重機を分解して、モノレールや索道(ロープウェイ)で運びます。そこまででなくても、狭い山道に重機を走らせるために、せり出した木を伐採したり、道の幅を拡げたりするのはよくあることです。その準備のおかげなのですが、周辺に暮らしている方から「道が通りやすくなった」と感謝されることが何度かあり、差し入れをいただいたこともあります。現場の近くには地域の方がいる。そのことを常に忘れず、作業のあとの掃除も徹底するように心がけています。
この仕事は、その日の成果が目に見えます。自分の努力や成長が結果に結びつくので、次のやる気につながります。また、機械化が進んでいるので、機械の上手な活用方法を考えるのもおもしろいですね。工夫次第で、ラクに効率よく仕事できるようになります。
耐切創手袋
刃物などで切りにくい、耐久性の高い手袋です。現場ではノコギリやカッターなど刃物を使いますし、コンクリートの角にすれただけでも手を傷つける可能性があります。そういうケガを防ぐために、手袋は欠かせません。
高知電気建設(株)
川村騰威
雲海を眺めながら仕事をすることも。
電線を張る架線工事を中心に、鉄塔の組立、メンテナンスなど送電線に関わる幅広い仕事をしています。父も同じ仕事をしており、小さい時からその姿を見てかっこいいと思っていました。高い場所 も平気だったので、あまり迷うことなくこの仕事を選びました。
電線を張るといっても、その方法はいろいろあり、現場の状況によって適切な張り方を選んでいます。最初は覚えることが多くて少し大変ですが、一通りの仕事を覚えると、どうやって電線を張るか考えるのも、仕事のおもしろさになってきます。張り終えたばかりの新しい電線は、ぴかぴか光ってきれいなんですよね。雄大な自然の中にまっすぐ伸びる光る電線。その姿を見ると達成感を感じます。
作業をしながら眺める風景も仕事の魅力です。朝、雲海のかかる山の中で作業をしていると、清々しい気分になります。こんな経験、ほかの仕事では、なかなかできないと思います。技術が認められると、他県の現場からも声がかかるようになります。私も北海道から鹿児島まで手伝いに行きましたが、いろいろな人の仕事を見て学ぶことは多く、その経験が役に立っています。
安全帯
私は高い場所をあまり怖いと思わないのですが、それも安全帯があるから言えること。万が一の 墜落を防いでくれる、なくてはならない仕事の相棒です。当たり前ですが、どんな現場も忘れずに持っていきます。
パワーコムエンジニアリング(株)
水野敬也
失敗しながら仕事を覚えていけばいい。
私は鉄塔の組立や解体、また架線の仕事をしています。組立の仕事は、地上での準備と、鉄塔を実際に組み立てていく作業の2段階があります。準備は、簡単なように思えて経験が問われます。作業しやすいように部材をまとめておき、まとめた部材を使う順番どおりに並べておくと、全体の作業が効率よく進みます。組立は、土台に設置する最初の部材の組み方が重要です。そこからまっすぐ伸びて、きちんと頂点が合うように計算する必要があるからです。平坦で広い地面なら簡単ですが、斜面であったり敷地が狭かったりして、現場によって工夫が必要です。
仕事のやりがいは、作業に自分らしさが出ることだと思います。図面通りに完成させるのが鉄則ですが、その過程は毎回違います。「今回の現場はこう進めませんか」と自分から提案して、それが認められた時は素直にうれしいですし、成長を実感します。
この仕事は失敗しながら覚えていく部分が多いと思います。私もたくさん失敗して、周りの人に助けられました。もし「自分にできるかな?」と心配している人がいるなら大丈夫。失敗しながら、ひとつずつ覚えていきましょう。
モンキースパナとペンチ
組み立て作業では部材をボルトとナットで固定します。その際、ナットを抑えておくために必要なのがモンキースパナです。ペンチは部材をまとめる時と、まとめた部材を鉄塔の上でバラす時に使います。両方とも、なくてはならない道具です。
(株)横山工業
三栖知晃
安心して続けられる仕事。
鉄塔の土台となる部分を作っています。直径3mほどの円形の穴を5、6mほど掘削し、鉄塔の足をコンクリートで固める仕事です。大きな鉄塔になると15m近くの深い穴を掘ることもあります。5階建てのビルと同じくらいの高さと言えば、規模の大きさがわかってもらえるでしょうか。
作業現場は街の中も山の中もあります。街中はコンビニが近くて便利なのですが、私は山の現場が好きです。自然と接していると穏やかな気分で仕事ができます。リスやシカが目の前を走ることもあって、癒されますね。
今までで一番印象に残っているのは、ヘリコプターで資材を運んだ山奥の現場です。ヘリが近づいてくると、轟音と一緖に強風が吹き付けて葉っぱが舞っていく。土ぼこりもすごいので、ゴーグルをして荷物を受け取りました。映画の中のような風景で、あれはドキドキしました。
この仕事の良さのひとつは使命感。みんなの生活に必要なものを作っているという誇りがあります。もうひとつは、長く続けられること。電気を使う暮らしが続く限りなくならない仕事だと思うので、安心して働けます。
インパクトドライバー
ボルトを固定する電動ドライバーです。斜めの場所も固定できるように角度を調整できる優れ物です。深く掘った穴が崩れるのを防ぐ部材はボルトで固定します。1段でボルトの数は75個。それを何段も重ねるので、この道具がないと恐ろしく時間がかかります。
(株)曽我部組
斉藤裕樹
仕事の感動を共有できる仲間がいる。
元々もの作りが好きで、人の役に立つ仕事がしたいと考えていました。電気の鉄塔に関わる仕事だと聞いて興味を持ったのが、入社のきっかけです。
私は現在、鉄塔の土台となる基礎を作っています。基礎作りにはいろいろな段階があり、山中の現場では建設予定地の木を伐採することから始まります。チェーンソーで切り込みを入れ、狙い通りの場所に木を倒す。その後、木を整理して穴を掘り、鉄塔の足を固定するまでが主な仕事です。クレーンや掘削機など何種類かの重機を使っての作業になりますが、私も働きながら免許を取得し、今では重機を手足のように使えるようになりました。
鉄塔はどれも同じように見えますが、同じ作業をする現場はひとつもありません。斜面の角度や地盤の硬さはそれぞれに違っており、毎回、自分なりの工夫をしながら基礎作りをしています。山奥の現場では、重機をバラバラにして運んで現場で組み立てることもあるし、天候にも泣かされます。それだけに完成したときの達成感は最高。その感動を一緖に作業をしてきた仲間と共有できることが、この仕事の一番良いところではないでしょうか。
チェーンソー
鉄塔づくりは山の中の現場が珍しくありません。まずはチェーンソーで木を伐採しないと仕事を始められないので、絶対に欠かせない道具です。狙い通りに木を倒せるようになると、伐採の作業がけっこう楽しくなります。
大澤建設工業(株) (株)シゲタ 八木建設工業(株)
山本拓輝 橋本崚太 眞鍋陸空
いつまでも形に残る仕事を仲間と一緒に。
眞鍋 鉄塔の上に昇って、電線を張る仕事をしています。いろいろな工法があるので覚えることは多いですが、1人で孤独にやる仕事ではありません。周りに先輩や仲間がいるので、わからないことは教えてもらいながら成長していけます。
橋本 チームワークはこの仕事の大切なポイントです。同じ会社の人はもちろんですが、違う会社の人とも同じ現場になることが多くて「仲間」という思いでつながっています。
山本 私たち3人も別の会社ですが、1日の仕事が終わって現場事務所に帰ってきた時は、一緒に楽しく雑談しています。そのゆるい時間が好きですね。
橋本 高い場所に昇るので、自分がケガをしないためにも、誰かにケガをさせないためにも、守るべきルールや注意点がいろいろあります。慣れるまでは大変に思うかもしれませんが、完成した時には大きな達成感があります。
眞鍋 仕事を覚えて自分がやれることが増えるほど、完成した時の喜びが大きくなっていきますね。
山本 人の役に立ち、いつまでも形に残る仕事です。きっとやりがいをもって続けられると思います。
安全帯
もしこの仕事に必要なものは何か?と聞かれたら「安全帯とやる気」と答えます。万が一の墜落を防ぐ道具なので、なくてはならない存在です。自分の命を預けるものだから、毎日しっかり手入れをしています。
(有)正木土木
岩佐凌凱
手足のように重機を使いこなす。
私たちは鉄塔を支える土台の部分を作っています。木を伐採し、重機で整地して穴を掘り、鉄塔の柱となる部材を固定してコンクリートで固めるまでが仕事です。鉄塔はきっちり計算して建てられているので、土台もそれに合わせて正確な位置を出して合わせます。重機で力強く進める作業もありますが、大事な部分はかなり繊細。いいかげんな気持ちではできない仕事です。仕事を始めた頃は、重機を手足のように扱う先輩に憧れました。今では私もほとんどの重機を使えるようになりましたが、意外に小さな重機の扱いが難しいですね。重心が軽いので、バランスを考えながら取り回さないといけない。でも、その工夫も仕事のおもしろさだと思います。
車で入れない現場では、30~40分歩くこともあります。その時はきついなと感じることはありますが、みんなの生活を支えていると考えると力が湧いてきます。そして鉄塔が完成した時は「これは自分の仕事だ」と誇らしく思います。
普段の生活でも自分が関わった鉄塔が目に入る。仕事の成果がはっきりわかるのは、大きなやりがいです。
小型クレーン
工事現場に大型のクレーン車が入れないことはよくあります。その時に活躍するのが、コンパクトに移動できる小型クレーン。山奥の現場でも物を運んだり、動かしたりできるので助かります。これなしで人力で・・・というのは考えたくないですね。
大一電気工業(株)
戸田涼太
仕事の仕上がりには個性がある。
この架線工事に興味を持ったのは、高校の先輩から話を聞いていたからです。高い場所は苦手だったんですが「地域の人のライフラインを守る」というのが格好良く、働きたいと思うようになりました。ただ実際に働いてみると、やはり高いところは怖かったです。でも、昇ってしまえば自分がやるべき作業がたくさんあります。そこに集中していると怖がるヒマなどなく、いつの間にかどんな高い鉄塔にも平気で昇れるようになっていました。
仕事のやりがいはたくさんありますが、自分が今できることの力を出し切れば、どんどん成長していける。これは大きな魅力だと思います。任される作業が増えて自分のレベルアップを実感できるから、また次の目標を目指すことができるんです。また、作業の仕上がりに自分らしさが出せることもモチベーションになっています。きっちり厳格なルールを守った上で、それでも人によって個性が出る。「お前の仕事、きれいやな」と先輩に褒められた時は最高の気分ですね。と言っても、一人でできる仕事ではありません。どの現場でも、多くの人とのチームワークが大切です。だから相手の立場で考えられる人は、この仕事に向いていると思います。それと、コツコツと毎日の努力を積み重ねられる人。覚えることは多いので、努力型の人が結果を出せる仕事だと思います。
電動工具
鉄塔の作業で多いのは、ボルトを締める・緩める、部材に孔を空ける・切断するなど。もし電動工具を使えなければ、この仕事の苦労は何倍にもなります。積極的に使い方を覚えていけば、自分を助けることになります。
(株)伊藤興業
伊藤哲也
小学生に手を振ってもらえる仕事。
幼いときから鉄塔の組立の仕事をしていた父の姿を見て、「格好いいな」と憧れていました。何の迷いもなく、この仕事を選びました。
組立の仕事のおもしろさは、自分の手を使って組み立てる作業だけではなく、クレーンを操作して部材を上に運んだり、鉄塔の上から台棒を操って部材を上げたり、いろいろなバリエーションがあることです。最初、先輩たちが台棒を操る姿を見た時は難しそうに思いましたが、今ではコツを掴んで手足のように操れるようになりました。また、青森から鹿児島まで日本全国で仕事ができることも楽しいですね。「わざわざ来てくれてありがとう」と感謝してもらえることも多く、仕事を続ける励みになっています。
鉄塔は街の中にも人のいない山の中にもありますが、騒音など気をつかうのは街の現場です。でも、街の中ならではの良さがあって、高い場所で作業をしていると小学生が手を振ってくれることがあるんです。何げないことですが、私にとっては一番うれしいことのひとつ。プライベートの時間に自分が組み立てた鉄塔を見かけた時の誇らしさと並んで、「この仕事を選んで良かった」と思える瞬間です。
安全帯
鉄塔に昇るためには欠かせない道具です。どんなに仕事に慣れたとしても、これを外すことはありません。安全帯だけではなく、自分が使う道具はすべて大切にしています。道具に油を差すなど、しっかり手入れをしています。
(有)山本組
橋川力也
自分の仕事がみんなの生活を支えていく。
私の仕事は基礎工。鉄塔を建てるための土台を作っています。土台作りと聞けば簡単そうに思えるかもしれませんが、かなり奥の深い仕事です。鉄塔が倒れないように深い穴を掘り、その中に鉄筋を組み立てて、コンクリートで固めていきます。バックホーやクレーン車など複数の重機を扱うのも当たり前。その免許も含めて20種類ほどの資格を持っています。もちろん資格はすべて働き始めてから取得したものばかり。自分に任されている仕事に必要な資格を一つずつ取得していくのですが、逆に言えば資格が増えるたびにできる仕事が増えるということです。自分の成長が目に見えるので、モチベーションになりました。
仕事の喜びは、なんといっても鉄塔が完成した時の達成感です。「自分の仕事がみんなの生活を支えていくぞ」という誇らしい気持ちになります。あと自分が関わった鉄塔というのは、遠くから見ても意外によくわかります。ふとした瞬間、例えば車を運転している時などに自分の携わった鉄塔が目に入ると、じわっとうれしい気持ちになります。この仕事をやっている人だけの特別なご褒美かもしれません。
スマートフォン
基礎工事の仕事は、コンクリートの量を量ったり、長さを出したりなど電卓をよく使います。また進行状況ごとに現場の様子を撮影して記録することも大切です。スマホひとつあれば両方の作業ができるので、とても助かっています。